夕間の夕間暮れ

どうも、夕間です。現在、高知大学で物理を学んでいます。

「過去」は存在しない?

どうも、夕間です。

突然ですが、今これを読んでいるあなたは
「あの頃に戻りたい」
だとか
「当時は辛かったけど今となってはいい思い出だなぁ」
と感じたことはあるでしょうか。
これらのことは無くても、自分の過去について考えたことのない人はほぼいないと思います。


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ですが、そんなあなたの過去は実は
「存在しない」
としたらどうでしょうか。
これだけ聞いても信じられませんよね。

今回は、『幸せになる勇気』という本の中に書かれていた「過去は実は存在しない」という考え方がかなり面白いなと感じたので、簡単にまとめて書いていこうと思います。


まずは、この考え方の根本にある「目的論」を紹介します。

目的論とは、「人間は過去の原因に突き動かされる存在ではなく、現在の目的に沿って生きており、過去にどんな出来事があったとしてもそれで何かが決定されるわけではない」という考え方のことです。

例えば、「家庭環境が悪かったから、暗い性格になった」と語る人。

これを原因論ではなく目的論で考えると、
本当は「他者と関わることで傷つきたくない」という目的が先にあり、その目的をかなえるために、誰とも関わらない「暗い性格」を選択している。そして自分がこんな性格を選んだ言い訳として、「過去の家庭環境」を持ち出している。
ということになります。

つまり、我々は過去の出来事によって決定される存在ではなく、その出来事に対して「どのような意味を与えるか」によって、自らの生を決定している、ということですね。

目的論を採用すると、これまでの人生にどんなことがあったとしてもこれからの人生には何の関係もなく、自分の人生を決めるのは「いま、ここ」を生きるあなただと解釈することができます。

(ここで注意すべきは、これは科学ではなく哲学なので「正しいかどうか」ではなく「どう考えるか」が重要であるということです)

どうでしょうか、この考え方はすんなり受け入れられるでしょうか。まぁ言いたいことは分かるけど、納得できるようなできないような…。って感じでしょうか?

さすがに目的だけで全てを語るのは無理なのではないかと思った方も多いと思います。
そもそも「他者と関わりたくない」という目的はどこから生まれたのか、その目的が生まれた「原因」だってどこかあるはずですよね。

しかし、この本に登場する「哲人」は一貫して「我々はいつでも自己を決定できる存在であり、新しい自分を選択できる存在である」と主張しています。

 

にも関わらず多くの人が、なかなか自分を変えられないのはなぜか?

 

それは、「自分を変える」とはこれまで生きてきた人生を否定し、それまでの自分を墓石の下に葬り去ることを意味するからだと哲人は言います。
だから人は変わろうとしないし、「このままでいいんだ」と思いたい。

それでは、「今の自分」をなんとか肯定しようとするとき、その人の過去はどのようなものになっているのでしょうか。
それはきっとこうでしょう。

自分の過去について「いろいろあったけど、これで良かったのだ」と総括するようになる。

つまり、「いま」を肯定するために、不幸だった「過去」をも肯定するんです。
いま、「これで良かったのだ」と思いたいから、過去が良い思い出になる、ということですね。(…最初の、後者の質問に当てはまった方はグサッとくるものがあったのではないでしょうか。)

つまり、「わたし」の過去は「いまのわたし」の正統性を証明すべく、自由自在に書き換えられてゆくんです。
人は過去に起こった膨大な出来事の中から、いまの「目的」に合う出来事だけを選択し、意味づけをほどこし、自らの記憶を形成する。
逆にいうと、いまの「目的」に反する出来事は消去する。

 

すなわち、我々の世界には、本当の意味での「過去」など存在しないということです。

過去が「いま」を決めるのではなく、「いま」が過去を決めている。

 

…ここまで長々と書いてきましたが、

この、「過去は存在しない」という考え方を通して哲人が(この本が)言いたいことはこういうことなのではないかなと私は思います。

 

「変えられない過去のせいにしても仕方がないでしょ。そう考えると楽だけど何も解決されない。全てはいまの自分にかかっていると考えてごらん。そう考えると苦しいけど問題を解消する可能性はあるでしょ。すべてはいまの自分の考え方であり行動なんだよ。」

 

 

…決してまとまりのある、読みやすい文章ではなかったと思いますが、これで私が共有したかった「過去は存在しない」という考え方はなんとなく伝わったのではないかと思っています。

 

ちなみに、今回紹介した内容は『幸せになる勇気』の極々一部に過ぎず、このような面白い考え方が沢山載っています。気になった方は是非読んでみてください。

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